海の中に沈む

海塚の企画・メモ・キャラ用ブログ

馬鹿騒ぎ

酒飲んでロシアンルーレットするロルフさんとディー

 

 

「遠慮すんなってお前が作ったんだろ」
「それはそうだが食われるために作ってんだよ」
「だから自分で食べろって、ほら!」
「やめろふざけんな力尽くは不利だろうが! いっづ、俺はこれでも怪我人だぞいたわれ!」
「はあああ? 労る? っつーかその反応はどう考えてもハズレじゃねーか! 騙されねえぞ!」
 一気に酔いが覚めた。どうして俺は自宅で好きでもない相手とこんな攻防をしているのか。空き瓶の転がる部屋の惨状に一瞬目を向けて溜め息を吐きたくなる。数刻前の自分を殴りたい。しかしそんなことよりも、今は目の前の揚げ物……を模した物体Xの方が問題だった。

 

 この日はたまたま、楽しい戦闘をしたのだ。
 この日はたまたま、多めに収入があったのだ。
 この日はたまたま、翌日が休みだったのだ。
 そしてあろうことか、そんなところに現れたこいつに絡んだのだ。気分が良かったとはいえ。俺が。
「酒飲むから付き合えよ暇人、奢ってやる」と。そして「守銭奴が? 何を企んでるんだ?」のような台詞を、機嫌がよく寛大な俺はスルーした。偶には良いだろうがその程度。思い出したら腹が立ってきた。
 チビを適当になだめつつ、先ほど購入した酒で釣る。向かうのは自宅だった。
 外の店では主に隣のチビのせいで——断じて俺のせいではない。こいつが悪い——出禁になりかけたことがある。確かに、先に動いたのは俺だ。しかしナイフのホルダーに手を伸ばしただけ、つまり未遂で悪くない。暴力的な脳筋などより断然マシだと信じている。
 発端はよく覚えていないが、そんなこんなで自宅に着いて一本開け、そこから少々記憶がない。気がつくと瓶が数本転がっており、手には水があった。気分が悪くなって水を口にしたところ、そこそこ酔いが覚めたというところだろう。
 何やら性的嗜好を口走ったような気がしないわけでもないが、そして相手の嗜好も聞いた気がしなくもないが、なんせ相手はこのチビ。何をいまさらと開き直った。そもそもこいつのロリコンと違って俺の嗜好は極平凡なもの、聞かれたところで何があるわけでもないだろう。ない、はずだよな。
 酔いすぎた自覚にもう一杯水を煽り、そう、問題はここからだ。俺は時折こいつに飯を作る。世話焼きだとかそんな理由ではなく単純に、飯の評価が欲しい。そして、メインはロシアンルーレット。10の中に4か5ほど爆弾を仕掛ける。つまみが欲しいついでに、ロシアンルーレットをしようと思い至った。こいつは毎度毎度ハズレを引くから面白い。さて何にしようと席を立った。
 ところが。
 作り終えて俺自身も酒を飲みながらつまむのに、一向にアタリが出ない。今日は数個しか入れていないからというのも含めても、普段ならとっくに引いていてもおかしくない。残りはあと3つ。
 もうこれは残りすべてが「アタリ」なんじゃないか?
 幾つ入れたかを思い出し、自分はそっと手を引く。美味いものは食わせるために作るものであり、それと同じく、不味いものも食わせるために作るのだ。と、ロルフが声を上げた。
「まっっっず!?」
「やっとアタリ引いたのか!」
「オメーこんな時までしょーもないことしてんじゃねーよ! アタリ!? ハズレの間違いだろ!」
 そのしょーもないことに毎度引っかかってるロリコンはどこの誰だ。押し込んで言葉を選ぶ。俺は脳筋に接近戦で勝つ方法なぞ知らないんだ。やっぱり外で飲めば良かったかもしれない。
「いいだろ少しくらい。ほら食えよ」
 言われた通りもうひとつつまんで口へ運ぶ。こいつの単純さはどうにかならないのか。案の定先ほどと同じ言葉が聞こえた。思わず笑い声が漏れる。 最後のひとつ、促そうとしたところにロルフが口を開いた。
「おいまさかこれもハズレじゃねーだろうな?」
「……」
 さすがにそこまで馬鹿ではなかったようだ。そして黙ったのが悪かった。
「自分で作ったんだからお前も食えよ!!」
 あ、ばれた。